根管治療
◎C3,C4に対する治療
C3,C4は歯髄まで虫歯が及んでしまっているので根管治療が必要になります。
C3の状態は歯髄まで虫歯が進行してしまい、虫歯菌が歯髄に感染し、歯髄が炎症を起こしてしまっている状態です。
ここまで進んでしまうと歯髄は元の状態には戻らず、時間と共に壊死してしまうので、根管治療をして歯髄を除去しなくてはなりません。
C4はC3を経て完全に歯髄が壊死している状態です。
また、歯髄が壊死してさらに放置すると右の絵のように根尖(根の先端)まで虫歯菌が感染します。
その結果、根尖付近の骨などの組織が破壊されて、膿がたまってしまう場合もあります。
この膿がたまっているところを「根尖病巣(コンセンビョウソウ)」といいます。状態によっては抜歯をせざるを得ない場合もあります。
C3でもC4でも根治(根管治療)の治療内容については基本的に同じです。
C3の場合は歯髄がまだ生きているので麻酔を使用しますが、C4は歯髄が死んでしまっているので麻酔を使用しないで治療できることも多くあります。 まず歯冠を削り、根管を見やすくします。 |
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根管にある歯髄や、虫歯菌によって感染してしまった根管の歯質を左図のような器具(ファイル)を用いてかき出します。根管の長さは、電気的歯根長測定器(メーター)という機械を使用して計測します。 このように根管をきれいにする治療を数回行います。 |
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根管内がきれいになったら、根管内のスペースを緊密に詰めていきます。 この処置を根管充填(根充)といい、材料は一般的にはガッタパーチャーを使用します。 根管内が新たに細菌によって感染しないように密封することが第一の目的です。 |
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歯根の部分のみ残った状態では、歯の高さがなく、元の歯の形に戻すことができません。 そのため、型を取って土台を製作していきます。 土台を製作するため、残った歯根の部分の形を整え、型を取ります。 |
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製作した土台を装着します。この土台をコアと言います。 コアを装着した後、その形を整えて、被せ物(クラウン)を製作するための型を取ります。 |
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製作したクラウンを装着してこの歯の治療は終わりです。 根の治療からクラウンの装着まで5~6回以上の治療回数を必要とすることが多いです。 |
[コア例1]
根管充填まで終了したら、コアの形成をした後、
コアの印象を取り仮封をします。
保険のコアを装着したところです。
この後はクラウンの形成・印象を行い、
クラウンを製作していきます。
[コア例2]
根管充填まで終了したら、コアの形成をした後、
コアの印象を取り仮封をします。
自費のファイバーコアを装着したところです。
この後クラウンを製作していきます。
~ワンポイント~
神経のある歯を生活歯(もしくは有髄歯)
神経のない歯を失活歯(もしくは無髄歯)
と言います。
[失活歯のデメリット]
虫歯などの痛みを感じにくくなる
痛みという危険信号が無くなるという事は、悪くなっても気づきにくいということです。
歯質が脆くなる
歯根が割れてしまう歯根破折が起こりやすくなります。
歯根破折してしまうと抜歯をするしかない場合がほとんどです。
根尖病巣ができやすくなる。
根尖(根の先端)に細菌感染してしまい膿がたまってしまう根尖病巣ができやすくなり、また治療をしても再発を繰り返すことも多くあります。
生活歯であれば根尖病巣ができることはありません。
生活歯で虫歯による痛みを取り除くのに、歯髄を取る処置は有効ですが、このように失活歯は生活歯に比べて多くのデメリットがあり、結果的に歯の寿命が短くなってしまう可能性が非常に大きくなってしまいます。
歯髄を保存できるように虫歯にならないようにすることが大切です。
もし虫歯ができてしまっても、できるだけ早期に虫歯治療を進めることも大切です。