2.歯磨きについて
歯みがきは予防歯科の第一手であり、最も大切なものです。歯に付いた歯垢は細菌の塊です。
歯垢は水やうがい薬では洗い流せず、歯みがきをすることで機械的に除去する必要があります。
しかし、歯磨きは難しく、上手にしっかり磨けている人はほとんどいません。
ここでは正しい歯みがきの方法について知り、身につけていきましょう。
それでは歯みがきについて下記の順番で説明していきます。
- a.歯垢のたまりやすい場所
- b.歯ブラシの選び方
- c.歯ブラシの方法
- d.歯磨き粉について
- e.補助道具について
a.歯垢のたまりやすい場所
きれいに磨くためにはまず歯垢のたまりやすい場所を知ることが大切です。下図は、歯垢がたまりやすい場所です。

歯と歯の間

歯と歯肉の境目

咬み合わせの面の溝

歯並びの悪い所

下顎前歯の舌側

段差のある所
b.歯ブラシの選び方

歯ブラシの先は小さめのものにしましょう。
小さいほうが奥や、細かい所まで届きやすいです。
毛の硬さは普通~やわらかめにしましょう。
硬めで力を入れすぎると歯ぐきを痛めたり、歯を削ってしまうこともあります。
歯周病が進んでしまった人はやわらかめで毛先は極細を選ぶとよいでしょう。
毛の種類はナイロン毛にしましょう。
天然毛は雑菌が繁殖しやすいです。
また、歯ブラシの交換時期は個人差がありますが、約一ヶ月程度といわれています。
毛先が開いてきたら交換時期です。
c.歯ブラシの方法

歯磨きの方法は、歯並びや歯周病の状態、詰め物やかぶせものの状態によって一人ひとり異なってきます。
歯科医や歯科衛生士にアドバイスをもらい、自分に合った磨き方を身につけましょう。
◎歯ブラシのポイント

鏡を見て磨きましょう
歯ブラシがしっかりあたっているか確認しながら磨きましょう。

磨く順番を決めましょう
磨く順番を決めることで磨き忘れる場所を極力少なくしていきましょう
歯肉がいたんでいたり、虫歯になりかけている場所を最初に磨くのもいいでしょう。

歯ブラシは鉛筆の持ち方で持ちましょう
鉛筆もちで軽く持つくらいが歯ブラシを持つには、ちょうどいいくらいの持ち方です。

軽く細かく磨きましょう
多くの人は歯ブラシを歯に当てる力が強くなりがちです。
軽めにあてましょう。軽くでも、しっかり歯に当たっていれば、歯垢は除去できます。
動かし方はなるべく細かく(歯2本分位の幅)動かしましょう。
◎歯ブラシの当て方について
![]() 歯の咬む面や側面 |
歯の咬む面や側面部に毛先をたてて磨きます。 |
![]() 歯と歯肉の境目 |
歯と歯肉の境目の歯肉溝という所は汚れがたまりやすい場所です。 毛先を45度にして磨きましょう。軽く細かく動かすのがコツです。 |
![]() 前歯の裏側や |
前歯の裏側や歯並びの悪いところなどの歯ブラシが当たりにくいところは、歯ブラシをたてるなどしましょう。 この際、歯ブラシの毛先の先端を用いて磨きましょう。 |
◎歯磨きの回数・時間について
歯磨きによってしっかり歯垢を除去するためには時間がかかります。
歯磨きの技術にもよりますが10分から20分はかかります。
しかし、『1日3回、1回につき10分以上の時間をかけて』というのは現実問題かなり難しいと思われます。歯周病は2~3日歯磨きをしなかったからといってすぐになってしまうものではありません。
歯垢のたまった状態を継続してしまうことによって歯周病になってしまうのです。
つまり、歯磨きは1日1回でもその1回でしっかりきれいに磨くことができれば歯周病を予防することが可能です(虫歯も同様です。)
また、歯周病も虫歯も夜寝ている時にできたり進行したりしやすいです。
(これは寝ているときに唾液の分泌量が減ることなどが関係しています。)よって夜寝る前の歯磨きがもっとも大切です。
もちろん朝・昼は歯磨きしなくてもいいわけではありませんが、朝や昼はなかなか忙しくて時間をとれないこともあるかと思いますので、朝・昼は可能な範囲で磨き、夜寝る前に十分時間をかけて歯磨きするとよいでしょう。
ただし、可能であれば、食事の後だけでなくおやつなどを食べた後も歯磨きをする方が、虫歯や歯周病の予防にはより効果的です。
d.歯磨き粉について

現在市販されている歯磨き粉には様々な種類があり、『歯周病に効く』『歯を白くする』などの様々な効果をうたっています。
もちろん歯磨き粉にそれらの効果はある程度含まれていますが、歯磨き粉の効果はあくまでも補助的なものであり、過信しすぎることは危険です。
歯磨きでは歯ブラシで歯垢をしっかりかきとることが最も大切です。
◎歯磨き粉の問題点
- 歯磨き粉によって口の中が泡立ってしまい、歯磨きの時間が短くなってしまう
- 歯磨き粉に入っている研磨剤によって歯の表面を削ってしまうこともある
- 爽快感があるので、歯垢を取れなくてもすっきりして歯垢が取れた気分になってしまう
◎歯磨き粉の利点
- 歯磨き粉を使うとさっぱりして気持ちがいい
- フッ素入りの歯磨き粉は虫歯予防になる
- コーヒーや紅茶などの着色を取り除きやすくする
e.補助道具について
歯磨きの補助道具として歯間ブラシとデンタルフロスが代表的です。これらは共に歯と歯の間をみがくためのものです。
歯と歯の間は通常の歯ブラシではどうしても磨ききれません。
そのため歯間ブラシやデンタルフロスを使用しましょう。
◎デンタルフロス
![]() デンタルフロス |
糸のみのタイプです。奥歯などは慣れるまでは難しいかもしれません。 価格的には一番お手ごろです。 |
![]() ウルトラフロス |
柄が付いたタイプです。扱いやすいというメリットがあります。 何回も洗って使うことができます。 |
~フロスの使用法~
![]() |
デンタルフロスを左右の中指に2~3回巻きつけて人差し指でフロスを張ります。 |
![]() |
ゆっくり動かしながら、歯と歯の間にいれていきます。 |
![]() |
ゆっくりフロスを上下に動かし 両隣の歯の歯垢を掻き出しましょう。 |
今まで使ったことのない方にとっては、最初のうちは時間もかかりますし、面倒かと思います。
慣れないうちは毎日やらなくても構いませんので、慣れてきたら徐々に回数を増やしていきましょう。
もしデンタルフロスがすぐぼそぼそになったり、すぐきれてしまったり、使用後にいやなにおいがあったりした場合、歯と歯の間に虫歯がある可能性がありますので歯科医院で検査してもらいましょう。
◎歯間ブラシ
![]() |
歯と歯と歯ぐきの隙間に直接入れて歯垢をかきとります。 若い人で隙間が狭い人は使用できない場合もあります。 |
~歯間ブラシの使用法~
歯間ブラシには様々なサイズがあり、まずはサイズを選ばなければなりません。
歯周病の進行度によって隙間の大きさは異なります。サイズ選びは歯間ブラシを使用する上で非常に大切です。
サイズが大きすぎると歯肉を傷つけたり、健康な歯肉を退縮させる原因になります。
歯科医師や歯科衛生士に相談して自分に合ったサイズを選んでもらいましょう。
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サイズの合った歯間ブラシを歯と歯の間の隙間に、歯ぐきを傷つけないようにゆっくりいれて内外に数回動かして歯垢を取り除きます。 |
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使用後は、ブラシを水で洗い清潔な状態にして、乾燥させておきましょう。 毛がぼそぼそになったり、針金の部分が折れたりしなければ何度でも使用できます。 |