Pregnant 妊婦

3.妊娠中の歯科治療


妊娠中の歯科治療妊娠中はおなかの中の子供の影響を考えると歯科医院に行くことをためらう方が多いですが、出産後は育児に追われ、通院が困難になってしまうことが多いため出産前の妊娠中に、可能な範囲内で治療をすませてしまうことをおすすめします。
歯科医院に行くことを躊躇して歯が痛くて栄養不足になったり、精神的に不安定になったりするほうがおなかの赤ちゃんに悪影響な場合もあります。
また、出産後、虫歯菌が母子感染する可能性があるので出産前に治療としっかりとした口腔衛生管理をすることが大切です。ただし、歯科治療をすることで、母子に与える悪影響があると判断した場合は、出産後に治療を行う場合もあります。

◎歯科治療に適した時期

妊娠中期が最も治療に適しています。
つまり、妊娠5ヶ月から7ヶ月がもっとも適しています。
ただし、治療を行ってはならない時期は基本的にはありません。

妊娠初期
●妊娠初期(~4ヶ月)

胎児のさまざまな器官ができてくる時期ですので、レントゲンや薬の使用に気をつける必要があります。

妊娠中期
●妊娠中期(5~7ヶ月)

最も安定している時期です。この時期が治療に最も適しています。

妊娠後期
●妊娠後期(8ヶ月~)

出産による治療の中断を考慮する必要があります。また、おなかも大きくなって、仰向けに寝た体勢では腹部の血管を圧迫するので長時間の診療が行えません。

レントゲン撮影

◎レントゲン撮影

基本的に歯の治療の範囲では、腹部にレントゲンが直接あたることはありません。
さらに、防護用エプロンを体にかけて、レントゲンを撮影するので基本的には問題ないと考えて結構です。
ただし、放射線障害による奇形、精神発達遅滞、発ガンなどの可能性がゼロとは言えないので妊娠初期には使用しないのが通常です。

麻酔薬の影響

◎麻酔薬の影響

歯科医院で使う麻酔は、注射した部分で局所的に分解されるため、お腹の赤ちゃんへの影響は、基本的にはありません。

薬の影響

◎薬の影響

薬は飲まないに越したことはありません。
薬の催奇性(赤ちゃんに奇形を作る作用)が最も心配な時期は、赤ちゃんの形が形成される妊娠初期です。妊娠後期では奇形の心配はなくなりますが、赤ちゃんの発育や機能に悪影響を及ぼす胎児毒性が問題になってきます。
治療をする上でお薬の効果がこれらのリスクを上回ると判断される場合のみお薬を飲んでいただくのが原則です。
お薬を飲む必要がある場合は主治医の指示を守り正しく飲むようにしてください。

鎮痛消炎剤
●消炎鎮痛剤(痛み止め)

妊娠中はできるだけ使用しないほうがいいでしょう。
しかし、虫歯や歯周病の痛みを無理に我慢すると母体や胎児にとって肉体的・精神的によくありません。
飲まれる時は必ず産婦人科医や歯科医に相談してください。
下記は主な鎮痛剤です。参考にしてください。

病院で処方 市販薬
比較的安全に使用可能 ピリナジン、カロナール、アンヒバ、アルピニー グランドール、ノーシン発泡錠、小児用バファリンC
使用に当たって注意を要する アスピリン、バファリン、インダシン、インテバン、メナミン、カピステン、ボルタレン、ナポール、ナパノール、アンフェット、ニフラン、ポンタール、ロキソニン、オルジス、ソランタール サリドンA、サリドンエース、新セデス、セデスハイ、ノーシンホワイト、バファリンA、アルカセルツァー、ケロリン、エキセドリン、ハッキリエース
投与しない方が良い メチロン、ミグレニン、イブプロフェン、スルガム、ブルフェン、ナパセチン、フェルデン、バキソ、アルボ、アクリチン、ナイキサン、クリノリル イブA、ナロンエース
●抗菌剤・抗生物質(化膿止め)

以下の抗生物質は妊娠中は飲まないようにした方がいいでしょう。

  • テトラサイクリン系(ミノマイシン・アクロマイシンなど)
    胎児に一過性の骨発育不全、歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすことがあります。授乳中の婦人にも投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止したほうがいい場合があります。
  • ニューキノロン系(シプロキサン・タリビット・クラビットなど)
    妊婦への安全性が確立されていないため、妊娠中、服用を避けたほうがいいでしょう。

その他にも、サルファ剤・クロラムフェニコールも服用は控えたほうがいいでしょう。