The Defect 欠損部の治療

2.歯周病の原因

◎直接的な原因

歯周病の直接的な原因は歯垢(プラーク)です。
歯垢とは、磨き残した食べ物のかすなどに細菌が繁殖してしまったものです。
この歯垢に繁殖した多種類の細菌の集合体(バイオフィルム)が、毒素を出して歯肉などの歯周組織を侵襲することで、歯周病になります。
バイオフィルム内で繁殖した細菌は、家庭でのブラッシングでは容易に除去する事ができない上に、抗生物質や洗口剤にも抵抗力を示してしまいます。

また、歯石も歯周病に大きくかかわっています。
歯石とは、歯垢に唾液中のカルシウムなどが沈着し、石灰化することで石のように硬くなってしまったものです。
歯肉縁より上にできる歯石を歯肉縁上歯石、下にできる歯石を歯肉縁下歯石といいます。(歯肉縁とは歯と歯肉の境目の事です。)
歯垢と異なり、歯石自体には病原性はないとされていますが、歯石の表面は非常に粗雑なため、歯垢や食べかすが更に付着しやすくなり歯周病の原因になってしまいます。

プラーク 歯垢が歯と歯肉の境目である歯肉溝にたまることから始まります。
歯垢に含まれる細菌は毒素をだし、歯肉を侵襲します。
歯石 歯垢がしっかり除去されずに残っていると、石灰化し歯石になります。
歯石の表面は粗造な為、食べかすが付着しやすくなり、細菌の繁殖が進行してしまいます。

このような悪循環が起こり、歯周病の原因になってしまいます。
この悪循環を断ち切るためには、歯垢・歯石をしっかり取りきることが大切です。
歯垢の段階であれば、歯ブラシで取ることはできますが、バイオフィルムや歯石になってしまうと歯ブラシでは取るとこはできませんので、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。

◎間接的な原因

歯周病の直接的な原因は歯垢ですが、他にも以下のようなものが歯周病になるリスクを高めてしまいます。

●歯並び

歯並びが悪い所は、歯ブラシを当てにくいため、歯垢が付きやすい状況になり、歯周病・虫歯共にリスクが高くなってしまいます。

●不適合な詰め物

CR・インレー・クラウンなどの詰め物の適合状態が悪いと、段差や隙間が存在してしまい、歯垢が付きやすくなり、歯周病・虫歯共にリスクが高くなります。

●咬み合わせ

咬み合わせが悪く、歯に許容範囲以上の力がかかってしまうと歯周病の悪化につながります。
また、咬み合わせが悪くなくても、ブリッジや入れ歯を支えている歯も、本来より強い力を受け止めなくてはならず、歯周病が悪化しやすくなります。

●不良習癖
歯ぎしり

歯ぎしりは、非常に大きな負荷が歯にかかるため、歯周組織に負担がかかり、 歯周病を進行させやすくなります。

口呼吸

鼻でなく口で呼吸する癖があると、口の中が乾燥して歯垢が付きやすくなり歯周病は悪化しやすくなります。

●喫煙

歯肉の血管が収縮し血行が悪くなるため、抵抗力が低下し、歯周病のリスクが高くなります。

●糖尿病

糖尿病になると身体の抵抗力が低下し、歯周病のリスクが高くなります。
また、適切な歯周病が血糖値の改善に関連があることもわかってきました。

●ストレス

精神的ストレスにより、身体の抵抗力が低下してしまい、歯周病のリスクが高くなります。

●食習慣

不規則な食事や栄養の偏り、軟らかいものや甘いものの偏食により、歯周病のリスクが高くなります。

●妊娠

ホルモンバランスが変化することによって、歯周病のリスクが高くなります。