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4.歯の構造

◎歯冠・歯根(シカン・シコン)

歯は、大きく2つに歯の上部の歯冠と、歯の下部の歯根に分けられます。
解剖学的な歯冠・歯根と臨床的な歯冠・歯根とは少し異なります。
臨床的には歯茎の上の見えるところが歯冠、歯茎に埋まって見えないところが歯根です。解剖学的には、エナメル質が覆っている範囲までが歯冠で、セメント質が覆っているところが歯根です。

以下のエナメル質から歯髄までの4つの要素は歯を構成するものです。

◎エナメル質

歯冠部を覆う人間の体の中で最も硬い組織です。
エナメル質自体は透明感のある白色ですが、その下にある象牙質が黄色っぽい色をしているため黄色っぽく見えます。
熱や電気などの刺激を通しにくいため、外部からの刺激から歯髄を守る役割をしています。

◎象牙質(ゾウゲシツ)

エナメル質・セメント質の下に存在している組織で、歯の大部分を占めます。
エナメル質より軟らかく虫歯になりやすいため、象牙質まで虫歯が到達すると急速に進行します。象牙質まで虫歯が進行すると歯の神経である歯髄に刺激が伝わり、痛みが出ることもあります。虫歯が歯髄に近づくほど痛みが出やすくなります。
象牙質では僅かではありますが歯髄側において再生能力があり、歯髄を保護するように働きます。

◎セメント質

歯根の表面を覆っている非常に薄く象牙質よりさらに軟らかい組織です。
歯周病などで歯肉が下がってしまいセメント質が露出してしまうと、非常に虫歯になりやすいので注意が必要です。また、歯根膜を繋ぎとめる役割を担っています。

◎歯髄(シズイ)

いわゆる「歯の神経」と呼ばれるものです。歯の痛みは主にこの歯髄が感じています。
歯髄には圧覚や温度感覚がない為、冷たい熱いといった刺激も全て痛みとして感じます。
歯髄には神経の他に末梢の動脈・静脈・リンパ管も走行しており、歯への栄養の供給も担っているため、歯髄を失った歯は栄養供給が行われないため脆くなり、歯の寿命は短くなってしまいます。

また、歯髄を失った歯は、痛みを感じなくなるために虫歯が進行しても気づかないことが多々あります。

以下の歯肉から歯根膜までの3つの要素は歯の周りを構成するもので歯周組織といいます。

◎歯肉(シニク)

いわゆる「歯ぐき」です。健康な歯肉はピンク色や淡い赤色をしていて、歯槽骨にしっかりと結合しています。不良な口腔衛生状態により歯肉炎などの歯周病を引き起こします。

◎歯槽骨(シソウコツ)

顎骨の中の歯を支えている部分の骨の事です。木に対する土のような存在です。
歯周病が進行してしまうと歯槽骨が破壊され、最終的には歯がグラグラになってしまいます。いったん破壊された歯槽骨の回復は非常に困難です。

◎歯根膜(シコンマク)

歯根と骨を繋ぐ組織です。この歯根膜により歯は簡単に抜けないようになっています。
クッションのような役割を担っていて咬合力を調整するという役割も担っています。
また、咬んだ時の物の固さを感覚する器官でもあります。