小児歯科 Pediatric

6.歯磨き・食習慣

虫歯予防において、最も大切で効果的なことは、適切な歯磨きと良い食習慣です。

~歯磨き~

歯磨きでしっかり歯垢を取りきることは、大人でも難しいことです。ましてや子供は歯ブラシを上手に動かすこともなかなかできないため、きれいに磨くことは困難です。 また、生え変わりの時期は乳歯が抜けて永久歯が生えてきている状態ですので、口腔内は乱雑になりやすく、汚れがつきやすく磨きにくい状態です。 本人に磨かせることはもちろん大切ですが、保護者の方の仕上げ磨きも不可欠です。



本人の歯磨きについて

1.歯磨きの習慣化

まだ上手に磨けない子供に歯磨きを自分でさせることは、意味のないことに思えるかもしれませんが、非常に大切なことです。 歯磨きの習慣をつけることが主な目的です。食べたら磨く、という習慣を着けましょう。 また、年齢が上がっていくのにつれて、歯磨きの時間を少しずつ伸ばすようにしましょう。仕上げ磨きから卒業した時に、「食べたら歯磨きを、時間をかけてしっかりとする」という習慣がついているようにして下さい。

2.歯磨きの開始時期

あまりに小さい時に自分で歯磨きをさせると危険です。開始時期としては、個人差もありますが、3歳頃から少しずつ始めましょう。ただし、子供の成長速度は個人差が大きいため、まだ危険が大きいようであればもう少し開始を遅らせましょう。また、しばらくは保護者の方が横で見てあげて下さい。

3.歯磨きの上達

仕上げ磨きを卒業するときには自分で上手に磨けるようになっていなくてはなりません。歯垢のついているところが赤く染まるプラークチェッカーという物を週に1回でも用いて、鏡を見ながら歯磨きさせると視覚的に歯垢がついている所がわかり、自分で工夫して磨こうとするため歯磨きが上達しやすいです。 また、定期検診で歯科医師や歯科衛生士に磨けていない所の磨き方の指導を受けることも、歯磨きの上達につながります。

 

保護者の方の仕上げ磨きについて

1.仕上げ磨きの開始時期

歯が生え始めたら、清潔なガーゼで拭ってあげることから始めてください。これは、歯磨きを始めるための練習にもなります。 歯ブラシを使い始める時期は、個人差もありますが1歳半くらいをお勧めします。最初は嫌がる場合が多いですが、根気よく頑張ってください。

2.仕上げ磨きのやり方

よく見えるように、寝転がらせた状態で行うと良いです。また、歯磨き粉を使うと泡で見えなくなってしまいますので、歯ブラシに軽く水を付けた程度の方が良いでしょう。 毎食後仕上げ磨きができればそれに越したことはありませんが、現実的に難しい場合は、夜は確実に仕上げ磨きをするようにして下さい。

3.歯科医院での指導

仕上げ磨きの時、どこに歯垢が残っているか見てもわからないことがほとんどだと思います。歯科医院で定期検診の時、磨けていない所や汚れがたまりやすい所を教えてもらい、磨き方を指導してもらいましょう。 特に生え変わりの時期は、乳歯が抜け永久歯が生えてくるため、どんどん口腔内の環境が変化するため、定期的に検診に通いチェックしてもらうと良いです。

4.仕上げ磨きの終了時期

目安としては8歳~10歳頃をお考えください。ただし、ずっと同じように行っていくのではなく、徐々に仕上げ磨きの比重を小さくし、小学校中学年の頃にはチェックをして、磨けていない所を指摘する程度にしていけるようにしましょう。そのためには本人の歯磨きの上達が不可欠です。



~食習慣~

いくら歯磨きをしても食習慣のコントロールができていないと、虫歯のリスクは非常に増大してしまいます。以下のような食習慣をしている方は改善が必要です。これは、子供に限らず大人でも同様です。

間食をよくする、ダラダラ食いをする

虫歯のリスクを増大させるのは、間食の量ではなく回数です。虫歯は、虫歯菌が糖を取り込むことによって産生する酸により、口腔内が酸性になることで生じます。 間食の回数が多いということは口腔内が酸性になる時間が増えるということですから、虫歯のリスクが増大します。間食をする際には一度に食べ、その後歯磨きをするようにしましょう。 また、ダラダラ飲食し、常に何か口の中に入っているような人も同様です。飴やキャラメルのような物は長時間口の中にある為、かなりリスクが高くなります。

あまり咬まずに食べる

よく咬むことで、食べ物と歯がこすれあい汚れをある程度取ってくれます。また、よく咬むことで唾液の分泌を促進します。唾液には汚れを洗い流してくれるだけでなく再石灰化を促進する作用があるため、虫歯のリスクを軽減してくれます。

就寝前の飲食

寝ている間は唾液の分泌量が減少するため、虫歯のリスクが高くなります。寝る前には必ず歯を磨くようにし、磨いた後は飲食はしないようにしましょう。夜の歯磨きが一日の歯磨きの中で最も大切です。歯磨きした後、のどが渇いて何か飲むのであればお茶か水にしましょう。