小児歯科 Pediatric

3.乳歯・幼若永久歯の虫歯治療

幼若永久歯とは、生えて間もない永久歯のことを言います。 幼若永久歯は、まだ歯質が弱く虫歯への抵抗性も弱い為、乳歯同様非常に虫歯になりやすく進行も早いという特徴があります。 また、永久歯は生えてから2~3年ほど歯根の完成に時間がかかるため、幼若永久歯は歯根が未完成という特徴もあります。 乳歯・幼若永久歯共に虫歯を削って詰める、という大前提は通常の永久歯とは変わりありません。 しかし、乳歯は永久歯との生え変わりがある事、幼若永久歯は歯根が未完成であるという事によって、通常の永久歯と治療が異なる所があります。

~乳歯と通常の永久歯との虫歯治療の違い~

乳歯に対する虫歯治療の大前提として、乳歯の虫歯を治療することも大切ですが、永久歯の萌出(でてくること)を阻害しないこと、乳歯が正常な時期に脱落する事、永久歯の生えるスペースを維持する事を考えなくてはなりません。 基本的に重要度は乳歯<永久歯となります。


脱落間近の乳歯に対して

もうすぐ抜けるであろう乳歯に対しては、積極的に虫歯治療をしないことも多いです。虫歯を治療してもすぐ抜けるのであれば、抜いてしまったほうが効率的な場合もあります。


乳歯の根管治療について

※根管治療についてはこちらへ 通常の永久歯では、根管治療の最後の根管充填の際にガッタパーチャーを詰めていきます。ガッタパーチャーは溶けたりしないものですが、乳歯の根管にガッタパーチャーを詰めると、永久歯の萌出を阻害してしまう可能性があります。 そのため、乳歯の根管充填は吸収性の軟らかい材料を詰めることになります。 軟らかい材料では、根管充填の本来的な意味の、緊密に根管を充填して細菌の感染を防ぐことを完全に行うことはできないので理想的ではありませんが、永久歯が正常に生えてくることをより優先します。 また、根管治療の後の処置も、永久歯の萌出を阻害しないためという同様の理由で、土台であるコアを入れることはしません。


乳歯が早期に欠損した時

永久歯が欠損した時にはブリッジなどの処置を行います。 ※欠損部の処置についてはこちらへ 乳歯にはこれらのブリッジなどの処置は基本的に行いません。永久歯の萌出を阻害してしまったり、乳歯の正常な時期の脱落を阻害してしまう恐れがある為です。 しかし、乳歯が早期に脱落してしまい、欠損した場合は永久歯の生えるスペースが無くなってしまうことがあるため、(2、生え変わりについて)スペースを確保する装置を入れる必要があります。

このように銀歯にループ状の物を付け、移動しないようにつっかえ棒のようにします。 これをインレーループと言います。

欠損した範囲が大きい場合は、もっと大きな装置が必要になることもあります。

~幼若永久歯と通常の永久歯との虫歯の治療の違い~

幼若永久歯の根管治療について

根管充填は歯根の先端の根尖までガッタパーチャーを緊密に充填することが大切ですが、幼若永久歯は歯根が未完成で根尖が出来上がっていません。 結果として根尖まで緊密に充填することは不可能なので、歯根が完成した後に根管治療をやり直す前提で、暫間的な材料を詰めます。 この材料は、乳歯の根管充填をする際に用いる材料と同様の材料を用いることが多いです。


虫歯

小児であっても虫歯が神経まで及ぶと、根管治療が必要になります。

根管充填

この状態で、一旦根管充填します。

根管充填

歯根が完成すると、先端付近は根管充填がされていない状態になるので、この後再度根管充填し直します。